40代サラリーマンの日記

わたくし、40代のサラリーマンの日常を書いています。

最近流行のチェスターコートってなんだ? ウールのコートを考える

ここ数年、ファッション雑誌でやたら推されているチェスターコートというものがなんだかわかりません。「チェスターフィールドコートの略称」と書いてあるのですが、チェスターフィールドコートとは違う写真が掲載されています。何がなんだかわからなくなったので、このチェスターフィールドコートについてまとめてみたいと思います。

 

そもそもチェスターフィールドコートとは

19世紀イギリスのフィリップ・チェスターフィールド伯爵にちなんだ名前で、チェスターフィールド伯が考案したとか広めたとか言われています。ファッション誌の解説に「オンでもオフでも使える」と書いてあったりしますが、チェスターフィールドコートは最上級のフォーマルなコートです。

チェスターフィールド伯爵

国王や天皇に会いに行くような場面なら、間違いなくコートはチェスターフィールドコートです。燕尾服、モーニング、タキシードの上に羽織るコートとしては、チェスターフィールドコート以外は変化球になってしまいます。ですからオフで使うというのは、かなりの上級者でなければ難しいでしょう。

雑誌に載っているチェスターコートは何なのか?

雑誌やファッションサイトでよく見かけるチェスターコートは、例えばこんなコートです。

 

こんなのとか・・・
こんなのですね。


これはどちらとも、典型的なボックスコートと呼ばれるものです。シルエットが箱形で寸胴になっているのが特徴です。ゆったりとしていて脱いだり着たりするのが楽で、古くは御者が着ていたなんて話もあります。フォーマルなコートとはほど遠いんですね。

現在は、このボックスコートをチェスターコートと名付けて売られていることがほとんどです。これはトム・ブラウンが、ウールのコートをなんでもかんでもチェスターコートと呼んでコレクションを展開し始めてから、この名前が定着したように思います。

このボックスコートなら、写真のようにカジュアルで着ることも可能で、オンからオフまで幅広く使うことができます。あまりかしこまった感じにもならず、使い勝手が良いと思いますので、社会人なら一着あれば便利なコートですね。


これもチェスターコートと書かれていましたが、とてもカジュアルなパッチポケットになっています。フォーマルな場では使えません。

ではチェスターフィールドコートは?

シングルとダブルがあって、細かいディテールは時代とともに変化しています。例えば胸ポケットは時代によってあったりなかったりしますし、襟のベルベットもあったりなかったりします。着丈も時代によって、若干ですが変化していますね。


これが典型的なチェスターフィールドコートです。細かなディテールはさておき、腰のくびれが特徴です。後ろからみると、腰から肩胛骨にかけて立体的になっていて、ボックスコートとは全く異なる立体感があります。


長靴を履いて写っているのでフォーマル感がないですが、こちらはデイヴィス&サンチェスターフィールドコートです。こちらも腰のくびれや胸の立体感がわかると思います。ボックスコートは工場で作りやすい直線的なデザインですが、チェスターフィールドコートはオーダーメイドのスーツのように、人の体型に合わせたデザインになります。

ディテールとしては、シングルの場合は正面からボタンが見えない、比翼仕立てになるのが特徴です。ポケットはフラップポケットになっています。着丈が長いのも特徴で、膝より少し下ぐらいまであります。フォーマルなコートならば燕尾服やモーニングコートの上に着ることもあるので、それらが完全に隠れる長さでなければオーバーコートの役目を果たせないからです。

どこで買うか

ボックスコートは工場で作りやすい形状なので、既製品でも大丈夫だと思います。ちょっとかしこまった所に出かけることもあるなら、パッチポケットなどカジュアルすぎるディテールがないものを選べばいいでしょう。


チェスターフィールドコートは、既製品では体に合った立体感を実現するのは困難です。基本的にオーダーすることになるでしょうし、そもそも既製品で売っているのを見ることがほとんどありません。そのため安価な値段から買えるボックスコートとは異なり、オーダーはだいたい10万円ぐらいからになります。もちろん上を見たら、キリがない額になりますけどね。

どっちを選ぶか

両方持っていてもいいのですが、若い人ならボックスコートで十分だと思いますし、ワードローブが少ない中で使い回しができて良いと思います。セーターなどに合わせて休日に出かけたり、スーツに合わせて通勤したり、チャコールグレイやネイビーなどの色を選べば結婚式などにも出られます。

チェスターフィールドコートを着たロジャー・ムーア

式典などに出るような社会的地位がある人は、チェスターフィールドコートは持っておいた方が良いでしょう。特に燕尾服を着る可能性がある人は、用意しておくべきだと思います。またある程度年齢がいっている方なら、一着あっても良いと思います。どこに行っても恥ずかしくないコートなので、大人のたしなみとして持つのもありだと思います。

まとめ

防寒対策として考えると、ボックスコートだろうがチェスターフィールドコートだろうが、なんら関係ないと思います。しかし儀礼の場、式典など改まった場に出る時には、ボックスコートではなくチェスターフィールドコートだというのは覚えておいて損はないと思います。コートを選ぶときに、参考になれば幸いです。